リーダーとはトップが決めた方針を“何とか”実行する人

――スポーツだと勝つための指示を出す必要があるわけですが、ビジネスだとリーダーが言語化すべきことは何になりますか?

木暮:経営者なら、大局を見て方向性を示すことが仕事です。大きな組織の場合、経営者が現場に出て飛び込み営業するとか、まずないですよね。そうではなく、「こういうことをやって、将来的にこっちの方向に行くのがうちの会社が生き残る道だ」などと示すのが経営者の役割。そしてその示された方向に向かって、各リーダーが部隊を連れて何とか進もうとするわけです。

余談ですが、リーダー的立場の人を指すものとして、マネージャーという言い方がありますよね。日本では“管理する人”みたいに捉えられがちですが、実は英語の「manage」って本来は管理という意味ではなくて、「何とかする」という意味なんです。

その何とかするという役割を担っている人がマネージャー、つまりリーダー。なのに何もしていないのが現実です。

なので、あなたがリーダーだとしたら、本当はトップが決めた方針を何とか実行するのが役割。

『キングダム』みたいな戦国時代で言ったら、王様が決めた方針に向かって今回の戦いを勝つのがあなたの役割です。そして部下はあなたの作戦で動くわけですから、「自分で考えて動け」というのは土台無理な話ですよ、ということです。

リーダーは部下のアクションを言語化する

――それゆえリーダーは、部下に対して作戦を明確にし伝えなければならないということですね。

木暮:そうです。本の中で、言語化が必要な要素はビジョン・アクション・コミュニケーションの3つだと書いています。

まず経営者はビジョンを言語化する次にリーダーは、メンバーがおこなうアクションを言語化するそしてメンバーは日々のコミュニケーションを言語化する

これがしっかり行われれば、ゴールが明確になり、やるべきことが明確になり、お互いに認識や意見を明確にそろえながら仕事を進めていくことができる

自分で考えて動ける部下が欲しいなんてリーダーの役割を放棄したようなことは、自然と考えなくなることでしょう。