親は「過去のイメージ」で行動している
誰もが老いた親のことを心配しています。しかし一方で、親のことだけを見ている余裕もありません。自分にも家庭があったり、仕事があったりするからです。そのため、親の安全を確保しようとしたときには、どうしても親に「待ってもらう」場面が増えます。「外出するときには教えてよ!」というのは、その段取りをするためです。
ですが、高齢になると誰であれ前頭葉の機能低下がはじまり、ごく軽度でも認知的な問題を生じている場合があります。つまりは、皆さんに心配されなくとも「自分はまだまだ1人で行動できる」と考えてしまうのです。
老いた親は、若かりし頃の身体イメージと根拠のない自信を持っていることが多く、現在の身体状況を正確に理解できていない場合も少なくありません。さらに、お願いや注意を何度しても、自分の好きに行動することを繰り返す方もいます。
そんな親に「命令形」の伝え方をしても効果は見込めません。最悪の場合は、ケンカになってしまったり、親を拘束することになってしまいます。皆さんとしては「親には元気に外出してほしい。でもそのためには準備が必要」というだけで、行動を制限をしたいわけではないのですから、誤解されたくないですよね。