通常の賃貸物件は家賃の約5カ月分の初期費用がかかる。家賃を6万円に抑えても、30万円となる。その内訳は敷金・礼金・前払家賃・保証料・仲介手数料が各1カ月となる。これに、家具・家電などの生活用品を加えたらさらにお金はかかるし、水道光熱費込みなので個別契約も不要だ。初期費用を払えないなら、家財道具なしにスーツケース1つでやって来ればいい。それを称して、「ミニマリスト」と呼ばれたりする。そして、昇給してから引っ越せばいい。
家賃はいずれにしても年収の20~25%に抑えよう。年収360万円なら、6万~7.5万円となるので、福利厚生が必要になるのだ。年収540万円なら、9万~11.25万円、年収720万円なら、12万~15万円が目安となる。
東京で一流になるための3つの心得
ゲーム、故郷の友、親を視野に入れない
東京には経営資源が集中している。人・モノ・金・情報であり、それを生かすために時間を使わないと成長できない。東京は楽しそうに見え、遊びに来る気分の若者もいるだろう。来る理由は自由だが、将来一流になりたいと思うならば、普段の生活において、なるべく以下の3つを視野に入れないことを私は勧めている。
1つめは、ゲーム・動画・SNSなどのエンタメだ。自分好みに設定することができ、楽しいのはわかるが、将来的な年収にとっては百害あって一利なしなので、ほどほどにしておいた方がいい。
2つめは、故郷の友達だ。「人は付き合う人たちの平均になる」と言われる。子どもに中学受験をさせたいなら、受験率の高い公立小学校に入学させた方がその確率は上がるものだ。なぜなら、周りの友達が勉強するのが当たり前だからだ。人は無意識に周りの「当たり前」に引きずられるものだ。
3つ目は、家というか、親だ。ヤングケアラーは自分が最も成長できる若いときに介護などに時間を取られてしまう。大人になれば、親にやってあげられることも増えるだろう。しかし、成長期には自分が成長できる環境に身を長く置かなければならない。就職氷河期で非正規雇用から抜け出せなかった人に有用な人材が少ない現実がある。一時的にでもその存在に目をつむることが、必要な時期があるものだ。
優秀な若者は20代で東京に出て、腕を磨くことをお勧めする。だからこそ、お金も時間もない不遇な20代を将来の飛躍のための基礎作りの期間として使うためには、ここで解説したような「有利な環境」を手に入れるに越したことはない。
(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)