わが子が伸びる中高一貫校&塾 2025年中学受験直前#16Photo:PIXTA

SNSで注目されやすい「志望校に向けた独自戦略」はもろ刃の剣になりかねない。安易にテクニックに頼ることは失速の原因になるからだ。特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾』の#16では、地力を伸ばすことの大切さを強調するグノーブルの講師陣に、残り2カ月の勉強法や心得について語ってもらった。また、期待値を最大化する志望校戦略についても伝授する。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

自己流の独自戦略は
失速の原因になる

 残り2カ月、この時期は受験生の学力、得点力が飛躍的に伸びることを受験生も保護者の方々も認識する必要があります。

 しかし、自宅で特別な勉強をする必要はありません。むしろ、中学受験において「直前期の失速」が起こるとすれば、それはこの点を誤解したときであると考えています。

 塾のテキストは過去問を研究し尽くした上で、合格するために必要なことが何かを考えて作られています。直前期の重要なカリキュラムを受けずに「家にこもって弱点補強」はリスクが大きく、得点力を上げることとは逆の行為です。

 直前期で特に大切なことは、「インプット」中心の学習から、「アウトプット」中心の学習にシフトすることです。ただし、この部分についても自宅のリラックスした環境で解くことと、塾という緊張感を伴った環境の中で集中力を切らさず演習を積むのとでは、その効果は大きく異なります。

 家庭でリラックスして勉強することの重要性もありますが、本番に近い環境で取り組むことでこそ、子どもは大きく成長します。そうすることで、最後まで実力を伸ばすことができるのです。

 特に直前期は「塾でやるべき事」と「家でやるべき事」の役割分担を明確にすることが重要です。目標に向かって子どもに適度な負荷をかけ、難しい問題に取り組ませることは、塾の教師の指導の下で行った方がより効果的、効率的です。

 家では計画に従ってルーティンワークをこなし基礎を固めましょう。国語であれば、読解や難問を解くことは塾に任せ、自宅ではその復習・確認と語彙や知識を積み上げていく学習をしてください。

「表面的なテクニック」に頼り過ぎるのも危険です。特に国語は、漢字練習や本文の精読などの基本的な学習を怠ると土台が崩れます。読解では「文章をしっかり読み込む」という基本に立ち返ることが重要です。他の3科目も目先の対策に特化した学習ではなく、普段通り地力を伸ばす学習が重要です。

 算数において、あえて即効性がある分野を挙げるなら「図形」です。図形は知識の要素が多く、直前期に解いた問題と似た問題が本番で出る可能性があるからです。

 一方、「場合の数」は苦手な子が多く、克服に膨大な時間がかかり、達成感も得られないので、間違えた問題の解説を見て、理解するにとどめておいた方がよいです。

最高のコンディションで中学入試本番を迎えるにはどうすればいいのか。次ページでは直前期の学習ポイントや、「逆三角形型」の併願戦略を解説。特に難関校志望者は必見だ。