2024年入試対応!わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校#8

親の誤った褒め方や叱り方によって、歪んだ学習観を持ったり、成績が伸び悩んだりする中学受験生は多い。そこで、特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校』(全29回)の#8では、わが子を伸ばすために親が肝に銘じてほしい「褒め方」と「叱り方」を見る。(元サピックス小学部教室責任者 粟根秀史)

SAPIX創始者たちの
「子どもを見よ」の真意とは

 サピックス小学部に勤める以前、私は当時老舗の大手塾で常勤講師をしていた。そこには1万人を超える会員に毎週復習テストを行い、そのたびに順位や偏差値を打ち出すシステムがあった。

元サピックス小学部教室責任者 粟根秀史あわね・ひでし/40年にわたる中学受験指導の経験を基に執筆・講演を行う。読売新聞オンライン「中学受験サポート」にて教育コラムを連載中。『中学入試 最高水準問題集 算数』『中学入試 分野別集中レッスン 算数シリーズ』(いずれも文英堂)など著作多数。

 私がその塾で新人講師だった頃のことである。受験校決定の保護者面談では、偏差値表のその子のその時点での偏差値に赤のラインを引いて、それを基にアドバイスするよう先輩講師から言われた。別のベテラン講師からは「偏差値という客観的なデータがなければ説得力はないぞ」とも言われた。

 このような考えの講師たちが、生徒の親に「テストの結果に一喜一憂しないように」と言ったとして、親は納得して実行できるのだろうか。私は疑問を抱いていた。

 その後、サピックス小学部に移籍し、創始者のS氏や代表のT氏からは「目の前にいる子どもをよく見なさい」と言われた。当時未熟だった私は、それを単に子どもをよく観察することであると表面的に受け取っていただけだったが、経験を積んだ現在ではこの訓示の真意が分かる。

次ページでは、名門中学受験塾、SAPIX創始者、代表者の訓示の真の意味と共に、受験生を持つ親が心がけるべきわが子の褒め方と叱り方を具体的に解説する。