新たに創設される
「育児時短就業給付」とは?
続いて、育児時短就業給付を見てみましょう。
この給付は、雇用保険に加入している会社員が2歳未満の子どもを養育するために、時短勤務を選択し、その結果賃金が低下した場合に支給されます。
育児時短就業給付の給付額は、時短勤務中に支払われた賃金の「10%相当額」に設定される見込みです。
例えば、基本給が30万円で所定労働時間が8時間の従業員が、2時間短縮(6時間勤務)を希望し、給与が「30万円÷8h×6h=22万5000円」のように計算され支払われていたとします。この場合、22万5000円×10%=2万2500円が支給されることになります。
従業員の収入は22万5000円(給与)+2万2500円(育児時短就業給付)=24万7500円。75%の労働時間に対して、82%の収入が得られることになり、収入減が緩和されていますね。
時短勤務することが選択肢の一つになることで、柔軟な働き方ができるようになったり、収入減のカバーによって子育て世帯の家計が安定したりすることが期待できます。企業側としても、早期の職場復帰によって人手不足の軽減につながる可能性があります。
申請方法はまだ公表されていませんが、給付先は育児休業給付と同じ雇用保険です。同じ要領で、従業員が勤め先に申請し、企業側が手続きを行うという形になるでしょう。
支援金制度の負担額は
会社員で月約400円
こうした子育て支援の財源を確保するために開始されるのが子ども・子育て支援金制度です。
子ども・子育て支援金は、26年度に開始され、加入している公的医療保険(協会けんぽや国民健康保険など)を通じて徴収されます。支援金は段階的に増え、26年度は6000億円、27年度は8000億円、28年度以降は1兆円が徴収される予定となっています。
こども家庭庁によると、負担の目安(平均額)は次のとおりです。
子どもなど実際には保険料の負担のない加入者を除いた「被保険者1人当たり」の保険料で見ると、28年度の会社員・公務員の負担は月平均800円、個人事業主・フリーランスなどの負担は月平均600円となる見込みです。
会社員・公務員の場合は労使折半とされており、負担額の半分ずつを従業員と会社がそれぞれ支払うことになります。