東京ディズニーランドと東京ディズニーシー、2つの人気テーマパークの料金体系やアトラクションに乗るためのシステムが複雑化し、アプリを使いこなせない人や入念な下調べをしない人は楽しめない場所になっています。どういうことでしょうか?(明治大学経営学部兼任講師 中島 恵)
アプリで効率化も、感想は「複雑…!」
チケットは1万円超に値上げ
2000年代までの東京ディズニーリゾートは、「1デーパスポート」というチケットを買えば、たとえ長蛇の列だとしても、我慢して並べばアトラクションやレストランを利用できました。1デーパスポートの値段は2001年~5500円、06年~5800円でした(11年に6200円に値上げ)。
一方で、ゲストは長い待ち時間と混雑を強いられてきたのも事実です。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドはこの問題を抜本的に解決すべく、18年7月にスマホのアプリを導入しました。
そして特にコロナショック以降、アプリにログインし、希望するアトラクションやレストランを予約する仕組みに大きく舵を切っています。人気アトラクションは抽選かつ課金の必要が発生しています。無料のファストパス(通常よりも短い待ち時間で乗れる仕組み)は廃止され、有料化されました。この有料ファストパスは現在、「ディズニー・プレミアアクセス」(略してDPA)と呼ばれ、1500~2500円します。
率直に言いましょう。東京ディズニーリゾートは一昔前よりもずっとシステムが複雑化していて、事前にしっかり調べておかないと、希望のアトラクションやパレードをほとんど体験できない恐れすらあるのです。
1デーパスポートは時期や曜日によって異なる価格変動制になり、大人7900~1万900円、中高生は6600~9000円、幼児・小学生は4700~5600円に値上がりしました。アトラクションにほとんど乗れず、ショーやパレードを見やすい場所で見られず、希望するレストランで食べられなかったとなると、ゲストには強い不満が残ります。
高額な料金を払って家族で行っても、うまく楽しめなかった場合、子どもからすると「お父さんやお母さんがちゃんと調べてくれなかったのが悪い!」などと文句を言い出すことでしょう。親からすると、たまったものではありません。
昔から「カップルでディズニーランドに行くと別れる」というジンクスがありましたが、それとはまた違った意味で、今のディズニーの仕組みは、一緒に行った人との関係が悪くなるほどの破壊力を持ち合わせているのです。
オリエンタルタルランドとしてはアプリを導入することで待ち時間を解消し、ゲストの苦痛を緩和するつもりだったはずです。しかし皮肉なことに、「ディズニーのプロ」のような人がより効率よく楽しめ、「たまに行くシロート」はあまりの複雑さと料金の高さに唖然としているのが実態です。
>>さらに詳しい内容は『東京ディズニー「家族で20万円」出費も!もはや「小金持ち」しか楽しめなくなったワケ』をご覧ください