3億本を販売した世界で最も売れたゲーム「Minecraft(マイクラ)」。その開発スタジオであるスウェーデンのMojang Studiosが米マイクロソフト傘下入りして10年がたった。教育、映画、物販、コミュニティなどありとあらゆる市場を拡大し続けているマイクラは、今後どうなっていくのか?特集『50兆円をゲットだぜ!日本のゲーム』(全25回)の最終回では、Mojang Studiosのトップであるオーサ・ブレディン氏が、ダイヤモンド編集部のインタビューに応じた。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
新作映画タイトルを「The」でなく「A Minecraft Movie」に
マイクラの物語はプレイヤーの数と同じだけ存在する
──マインクラフトが3億本を売る世界最大のゲームに成長したのは何が理由ですか。
マイクラがここまで成長した理由を挙げるとすると、まずはゲームの創造性でしょう。プレイヤーは自分の物語をそれぞれ創造することが求められており、それがこのゲームの価値をとても大きなものにしています。
2025年にジャック・ブラック主演の映画「A Minecraft Movie」が公開されます。Mojang Studioのクリエイティブチームが制作陣に加わり、マインクラフティネス(マイクラらしさ)が確実に維持されるように協力していますが、タイトルに「The」ではなく「A」を使っているのも、こだわりの一つです。つまりこのゲームはプレイする一人一人が作るみんなの物語であり、映画自体もそのたくさんうちの一つにすぎない、というメッセージなのです。プレイヤーの数だけ物語がある、というこの世界観は、マイクラの特徴であるとともに最大の価値でもあると考えています。
――マイクラは24年で15周年を迎えました。関連市場も拡大していますが、ブランドを健全に育成するためにどのような取り組みをしていますか?
最初はJavaバージョン1本から始まったマイクラですが「マインクラフトダンジョンズ」「マインクラフトレジェンズ」などの派生ゲームも登場し、ラインアップが増えるとともに、ゲーム内でのアドオンコンテンツを購入できるマーケットプレイスも大きく成長しました。さらにこの数年間でキャラクター物販は収益が倍増しています。
広く愛されてきた世界観を大切に、マインクラフティネスが映像・物販などそれぞれの展開でもしっかりと維持されるように、Mojangにはこうしたコラボレーションを担当する専門のチームがいます。また、コラボはパートーナー企業を厳密に選定した上で、具体的に何をするのか何ができないのかについて明確に記載された、膨大なボリュームのブランドガイドラインに沿って行っています。
3億本という「世界で最も売れたゲーム」の称号を他に譲らないマイクラは、単なるゲームの枠を超えて巨大な市場も生み出している。元はインディゲームとして生まれたマイクラは、今後どのように広がっていくのか。次ページからブレディン氏に、より詳しく聞いていく。