近年、企業による社員待遇の向上が続いている。人手不足や物価の上昇など背景は複数考えられるが、なにより、企業が成長するためには年収アップで人を引き付ける必要がある。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、最新のデータを反映した3年後の年収を大胆予想。特集『【最新版】3年後の予測年収1355社ランキング!全30業種で「勝ち組」はどこだ?』の#16では、医薬品業界の予測年収を独自に推計し、全37社のランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
現在は9社が1000万円超えも
3年後には4社が脱落という試算に
医薬品業界にはリストラの嵐が吹き荒れている。
そもそも、医薬品業界のビジネスモデルはかなり特殊だ。稼ぎ頭の薬の特許が切れれば、収益の柱が瞬時になくなってしまうというリスクを抱える。一方、新薬の研究開発には莫大な投資が必要で、しかも、それが成功するとは限らない。こうした構造を背景に、近年大手製薬企業では、人件費をカットするためのリストララッシュが起きてきた。大手の苦境の様子は『【製薬大手4社“稼ぐ力”徹底比較】武田とアステラスで「大規模リストラ」が必須になる理由』と『【医薬品6社】倒産危険度ランキング最新版!5位東和薬品、1位は?財閥系の大企業でも“一寸先は闇”』を参照してほしい。
そうしたリストラを後押しする要因の一つが、医薬メーカーがもともと「超高給」な業界であることだ。
リストラが“お家芸”と評される武田薬品工業とアステラス製薬の2社は、2024年3月期の平均年収が1081.3万円、1110.4万円と1000万円を超えている。
他にも、第一三共、中外製薬、ソレイジア・ファーマ、ネクセラファーマ、ジーエヌアイグループ、大塚ホールディングス、エーザイが1000万円を上回る高待遇だ。その下には、多数の企業が800万~900万円台で並び、「医薬品業界=高給」という実相が浮かび上がってくる。
しかし、3年後の給料はどうなっているだろうか。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、24年3月期までの実績値から3年後となる26年4月期~27年3月期の年収を大胆予想した。
試算対象としたのは、医薬品業界の37社だ。年収が業績などに連動することを前提に、各社の公表資料を用いて重回帰分析による予測モデルを作成、アナリストによる業績予想のコンセンサスデータを当てはめて試算を行った。
その結果、なんと、現在1000万円を超えている9社のうち、4社が1000万円を下回ることに。9社のうちの2社は、15%以上も減少する試算となった。全体では、37社中20社の年収が3年後には減少する。
一方で、現在でも1000万円を超えているが、3年後の試算ではさらに21.4%も増加する企業もあった。
ここまで紹介した企業の他に、塩野義製薬、協和キリン、小野薬品工業、住友ファーマ、ぺプチドリーム、JCRファーマ、ファンペップ、杏林製薬、ヘリオス、科研製薬、鳥居薬品、参天製薬、ロート製薬、ツムラなどの3年後の年収はどれくらい増えるのか?あるいは、減るのか。一挙に見ていこう。