インターネット上でやりとりできる暗号資産は「仮想通貨」とも呼ばれており、非常にリスクが高いのでそれ自体が投資初心者には向かないものですが、ともかく、投資先が何であれ、投資はある程度の貯金ができてからしなければいけません。自己資金のない人が、借りたお金で投資をするのは大変危険です。

 彼女の場合、社会人になって奨学金の返済が始まるなど、まとまったお金がほしいという事情もあったようです。その「投資」がうまくいけば、お金の心配をせずに安心して生活ができると思ったのかもしれません。

投資で資産を増やす前に
トラブルを回避する知識を持とう

 でも実際には「投資」がうまくいくどころか、支払った150万円はまったく返ってきませんでした。同級生が紹介した会社は、「投資」を装って大勢の人からお金を集める詐欺グループだったのです。のちに警察が調べたところ、そのグループは国に登録せずに投資と称してお金だけを募り、全国で650億円もの巨額の金を集めていました。

 私が世の中の金融教育で不満に思っていることのひとつが、金融詐欺、投資詐欺についての教育が少なすぎることです(もちろんしっかり触れられているものもありますが)。それが「金融教育を受けたほうがトラブルに巻き込まれやすくなる」という事実につながっているのではないでしょうか。

 金融業界は詐欺と非常に相性のいい業界です。投資で資産を増やすことよりも、詐欺や(ギリギリ合法であっても)悪質な投資商品に食い物にされないことのほうがはるかに重要なのです。現状、大学生や新社会人は、その周囲を詐欺師がウロウロしている金融業界にノーガードで放り出されているわけです(高校で多少教わっているとはいえ)。悲劇を防ぐためにも、金融詐欺・投資詐欺について一定の知識は持っておかないといけません。