16年2月には現金600万円と貴金属約5400万円相当が盗まれ、当時交際していた20代の自称モデルの女性が逮捕されたが「6000万円なんて自分にとって紙くずでしかない。いい経験だ」などと豪語して話題となった。

 被告と結婚したのは18年2月。著書によると、17年秋に羽田空港で転んだときに助けてもらった事を契機に交際が始まり、東京や京都、和歌山でデートし「僕の最後の女性になってくれませんか」とプロポーズしたという。

被告と被害者の
所持品から覚醒剤反応

 殺人罪での初公判が開かれたのは9月12日。須藤被告は黒のロングヘア、黒いワンピースにマスク姿で入廷。罪状認否で「私は殺していないし、覚醒剤を摂取させたこともない」と全面的に争う姿勢を示した。

 一方、検察側は冒頭陳述で、財産目的で結婚し、完全犯罪を計画したと指摘。結婚後「完全犯罪」「覚醒剤過剰摂取」などと検索し、密売人から致死量の3倍となる3グラム以上を購入していたと明らかにした。死亡後は「遺産相続」「殺人罪時効」などと検索し、遺産約5500万円を使っていたと述べた。

 弁護側は「分からない点が多い。殺意を持って覚醒剤を飲ませたことに間違いないのか。疑問が残るならば、無罪としなければならない」と反論した。

 同13日の公判では、被告の友人の供述調書が読み上げられ、結婚の理由として「月100万円もらえるからおいしい」と聞いたと説明。出廷した県警の警察官2人は「野崎さんに覚醒剤を常用していた形跡はなかった」と証言した。

 同24日には捜査を担当した当時の警部補が出廷。野崎さんの死亡後、野崎さんが自宅で使用していた歯ブラシやコップ、衣類、布団などから微量の覚醒剤反応が出たこと、また19年7月に東京にある被告の自宅から押収した被告のサングラスやハイヒール、衣類などからも覚醒剤反応が検出されたことを明らかにした。

 同27日は野崎さんの遺体を解剖した大学教授が、胃の覚醒剤濃度が異常に高かったことから、口から摂取したとの結論に至ったと説明した。