覚醒剤は本物ではなく
氷砂糖だったのか
10月1日、検察側証人として被告に覚醒剤を売ったという男性が出廷。18年4月7~8日に注文を受け、田辺市内で4~5グラムを10万~12万円で売ったと証言し、その時の被告の印象について「薬物を使用しているようには見えなかった」と説明した。
だが11月7日、証言の信憑性に疑義が浮上する。この男性の「同僚」を名乗る別の男性が18年4月7日、電話で注文を受けたが、当時は覚醒剤取引のルートがなく、準備したのは砕いた氷砂糖3グラムだったと先の証言を否定したのだ。
同8日からは被告人質問が開始された。弁護側の問いかけに、野崎さんから18年4月、覚醒剤の入手を依頼され、20万円を受け取ったと説明。しばらく放置していたが催促され、ネットで検索した密売人と連絡を取り、同月8日に白い塊が入った封筒を受け取り、野崎さんに渡したと述べた。その後、野崎さんは「あれは使い物にならん。偽物や。もう頼まん」と口にしたという。また愛犬が死んだ5月以降、「死にたい」と繰り返していたとも話した。
2回目の被告人質問が行われた同11日、検察側に覚醒剤入手を依頼された件を捜査段階で説明しなかった理由を問われ「事件直後から人殺し扱いされ、余計に疑われると思い、怖くて言えなかった」と答えた。
同15日に行われた3回目の被告人質問では、弁護側に目の前に野崎さんがいたら何と言いたいか尋ねられ「このタイミングで死んだせいで、私は何年も人殺し扱い(された)」と語気を強めた。覚醒剤の購入を断らなかった理由は「私が使うわけではなく、お金をもらえれば良いと思った」と断言した。
「覚醒剤過剰摂取」と検索した理由については、ウェブサイトが表示した覚醒剤に関する動画を見た後、気になって調べたと説明。死因が急性覚醒剤中毒と知り、渡した覚醒剤が本物と思ったかと問われ「思いました」と答えた。