長田 たとえば、ニュースを見ていて、内閣改造や経団連の面々が報じられるときは、大抵高齢男性ばっかりずらりと並びますから、うるさめに野次ります。情報番組も、女性アシスタントと男性キャスターの組み合わせがほとんどなので、「海外では違うらしいよ。スウェーデンの人がびっくりしてた」などと突っ込みます。
この前、すごくハッとした出来事がありました。
舞妓さんが出てくる作品を子どもと見ていたとき、私は日本文化が好きなので、着物がかわいいなどと好意的に見ていたのですが、娘は「児童労働だよね」「人権侵害だよ。こんな幼い子たちが集まって、お酒を飲んでいる男の人ばっかりの席に行かなきゃいけないのはおかしい」と言いました。
私は「その通りだよね」と子どもの視点に学ばされました。すっごく誇らしかったです。
保護者のアクションを
見せることも大切
長田 また、私は性暴力被害者センターやDV相談窓口の短縮番号のステッカーを作って、いろいろな人に配る活動をしています。夕飯の後に封筒にステッカーを入れて送っている姿を子どもは見ているので、「これ何?」と聞かれたときに「これはこういうときに電話する番号で、たくさんの人が被害に遭っている」と説明しました。
その結果、子どもは相談できる場所があるということを知ることができました。
犬山 保護者自身がジェンダーについて学んだり、講演を聞いたり、または性被害に遭った人のための活動をしたり、そういった姿を見せることの大切さがよく伝わってきます。
口で説明するのも大切だけれども、保護者の実際のアクションから伝わるものも大きいのでしょう。
【著者の対談相手のプロフィール】
長田杏奈(美容ライター) 著書に『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)、責任編集に『エトセトラVOL.3 私の私による私のための身体』(エトセトラブックス)がある。