「男の子だから」「女の子だから」というレッテル貼りを嫌う親は多くなっている。自分が言わないようにしても、他人からの言葉は防げない。そんな場面に直面したとき、親としてはどうすればいいのか。犬山紙子氏が長田杏奈氏、SHELLY氏とともに考える。本稿は、犬山紙子『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
周りの人がもし言ったら
その場で介入して指摘する
そんな社会の中で、どのように子どもと接していけばいいのでしょうか。娘さんを育てながらライターとして活躍している、長田杏奈さんにお話をうかがいました。
長田杏奈 女の子だからとか男の子だからということを、当然私自身は言いません。もし、周りの人が言ったら、その場で介入します。「そういうのはよくないかも」と軽く指摘するのです。
たとえば、学校など私のいないところで「女の子だから」と言われたと娘が報告してきたら、「それはおかしいね」とモヤモヤを肯定し、「ママが先生に言おうか?」と提案します。子どもには「やめて」と言われますが(笑)。
そんなふうに接していると、頭ごなしに否定される心配がないためか、外で感じたモヤモヤを安心して話してくれるようになります。「杏奈(私)、絶対怒ると思うよ」と前振りして教えてくれます。
選ぶものや着る服については、たとえば中学の制服で娘がパンツスタイルを選んだときも、心から「いいね」と賛成します。
「みんながスカートを選んでいて浮くかもしれない」と不安がっていたら、「かぶらなくてかっこいいじゃん」と励まします。
ジェンダー的な王道や無難さにとらわれずに、自分の好きなほうを選んだことを応援するのです。逆に、世の中的にすごくフェミニンとされているものを好んだとしても、「ダサピンク」みたいな言い方はしないかな。それはそれでいいと思うので。
性別役割分担を
無くしていこう
長田 また、わが家では性別役割分担のような意識は希薄かもしれません。
以前は、夫の職場が忙しく、フリーランスで融通がききやすい私がワンオペ育児の時期もありました。夫に不満をぶつけたら、「でも自分で選んだんでしょ」と返されて悔しくて……。出た、自己責任論、新自由主義って感じですよね。