ジェネリック再編#5Photo by Yoshihisa Wada

ジェネリック医薬品(後発薬)業界で東和薬品と双璧をなす沢井製薬は、小林化工と日医工に続き、品質不正の当事者となった。同社を傘下に持つサワイグループホールディングス(HD)は、長引く医薬品不足で国からの再編の圧力が高まる中でどう立ち回るのか。特集『薬不足はいつ終わる?ジェネリック再編』の#5では、サワイGHDの澤井光郎会長兼社長グループCEOを直撃した(ダイヤモンド編集部 野村聖子)。

国の再編業界促進策
「サワイにメリットはない」

――ジェネリック医薬品(後発薬)業界の構造問題が薬の供給不安という形で表出し、国は業界再編を求めています。その回答として、サワイグループホールディングス(HD)は6月に開いた中期経営計画説明会で、自社工場をフル活用した他社製品の生産請け負いを提唱しました。

 旧小林化工から譲り受けた工場で30億錠、第二九州工場の新棟で35億錠、当社は計65億錠の生産余力ができる。この工場を一刻も早く動かすことが、供給不足解消の一番の近道。だから「他社のも引き受けて 作りますよ」いう提案をしたんです。

 でも、 他社にすれば自社で利益が上がっているものを外に出して、「後はお願いします」なんて言うわけがない。だから赤字品目でも引き受けて増産するというモデルを出しました。ぎゅうぎゅう詰めだったラインに空きが出きた分、当社が作れないような品目を増産してもらえば、品目の供給不足が少しでも解消する。これなら1~2年ですぐにできます。M&A(企業の合併・買収)などしていたら、交渉、契約だけでもものすごく長いスパンになるわけですよ。

――国が提示している業界再編促進策には、M&Aへの税制優遇などが盛り込まれており、業界大手によるM&Aで企業数を集約してほしいという期待感が滲みます。

 われわれにM&Aをするメリットはありません。

サワイGHDは、業界の両雄として東和薬品とともに再編の旗手として期待されている。しかし、澤井会長が「M&Aにメリットはない」と断言する。次ページでその理由を明かす。