総予測2025#74Photo by Yuji Nomura

建設機械における世界最大の市場、米国で第2次トランプ政権が発足する。設備投資の動きが真っ先に現れる業界だが、足元では金利の高止まりで買い控えする傾向があった。トランプ氏の再登板で今後の景況感はどう変わるのか。特集『総予測2025』の本稿では、日立建機の先崎正文社長に2025年の展望を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)

米国のインフラ投資は旺盛
鉱山機械の需要は堅調

――建設機械業界の2025年の景況感は?

 曇り後晴れですね。6~7月、遅くとも夏には晴れ渡るとみています。各国で状況が少しずつ違っていて、中国は厳しいまま。日本は一定の需要で安定しています。欧州は代理店の在庫が減りつつあるので高いレベルの需要が見込めるとみています。

――一番の懸念は米国情勢?

 トランプ政権で関税の壁がどれほど高くなるのか、ですよね。

 金利がどうなるのかが見えなかったので、24年は想定よりも建設機械の購入が抑制されました。

 ただしインフラ投資は旺盛で、工事のボリュームは既存の建機ではさばき切れません。要するに買うタイミングを迷っているわけですね。すでに金利が高くて、さらに上がるのなら今買う。でも下がるなら今ではない。これから下がる見通しなので皆さん見送っているのでしょう。トランプ政権が発足して関税を含めた施策が明らかになり、グローバルマーケットの中で金利・為替の見通しが立ってから購入意欲が出てもおかしくないでしょう。そうなれば景気の先行指標といわれるわれわれの業界から立ち上がっていくのではないでしょうか。

――米州大陸での目標は?

 米州大陸は22年以降に米ディア・アンド・カンパニーとの提携を解消して、製造から販売、継続的な需要が見込めるアフターサービスまでを一気通貫で担えるようになりました。主力の中型ショベルも、鉱山機械の市場も、白紙でスタートしました。あとは伸ばすしかない。

――地政学リスクの影響は?

 鉱山機械の需要は資源開発の情勢と密接に関係します。ウクライナ侵攻以来、ロシア産の資源が使えない状況が続く中、先進国は豪州、北米、南米から買っています。鉱山機械の需要は堅いですね。

次ページでは、低迷が長引く中国市場について、先崎社長が見解を語る。22年に日立製作所の上場子会社から持ち分法適用子会社になったことでの変化についても言及した。