日産自動車の救いはホンダとの統合か?リストラでは復活できない根本的な理由日産自動車の内田誠社長 Photo:JIJI

日産自動車とホンダが経営統合に向けた協議を検討していることが明らかになった。また、将来的に三菱自動車が合流する可能性もあるという。3社が統合すれば、単純な販売台数で世界3位グループへ浮上するだろう。日産は再建計画を出したばかりだが、リストラだけでは復活できそうもない。(ジャーナリスト 井元康一郎)

大企業病かつ売れるクルマがない日産

 日産自動車の業績は、なぜここまで悪化してしまったのだろうか。25年3月期上半期の売上高は、5兆9842億円。これは前年同期に比べて微減にとどまっている。一方、営業利益は前年同期に比べて約9割減の329億円。営業利益率はわずか0.5%だった。

 日産は今春、新商品の大量投入などにより、26年度末までの世界販売を100万台積み増す(約450万台)3カ年計画を発表していた。が、今上半期の世界販売は増えるどころか3.8%減の158万5000台に落ち込んだ。

 このような事態に陥った最大の要因は、北米事業の急変だ。実は、24年3月期上半期は全体の営業利益3367億円のうち北米事業が2414億円と、約7割も稼いでいた。今期はその北米事業が41億円の赤字に大転落したのだ。

 北米事業が急激に悪化した理由は、「クルマが売れなかった」から。正確にはクルマの商品力が足りず、値引きの原資として販売会社に供給するインセンティブ(販売奨励金)が膨れ上がったからだ。

 内田誠社長は、「(世界的にクルマが供給不足だった)21年、22年はインセンティブを抑えても売れたが、市場が正常化した時に、中核モデルで収益を上げることができなかった」と敗因を述べている。

 そして、年間販売350万台で利益が出せる企業体質を目指す再建策「ターンアラウンド」計画を発表した。工場閉鎖による世界生産能力の2割削減、グローバルで9000人の人員整理などを行い、コストを圧縮するのだという。

 日産はすでにコロナ禍で世界生産能力を2割削減している。それをさらに2割減らすというのだから、かなりの縮小ぶりだ。

 経営危機に瀕した企業が経費の大幅節減に走るのはごく普通のこと。だが、日産が今置かれている状況は経費を減らせば復活できるというシンプルなものではない。