ハンバーガーにフライドポテトとコーラというのが定番ですが、それぞれSサイズを付けて3点セットにすると、脂質の摂取量が約20gに。8~9歳の男児の場合、食事摂取基準では脂質から摂るエネルギー量は総摂取エネルギー量の20~30%が目標量ですが、ハンバーガーとポテトだけで10%を摂ってしまうことになります。食塩摂取も1.8gで、目標量の36%を占め、ほかの2食やおやつなどを考えるといずれも摂り過ぎです。

 でも、それがわかれば、フライドポテトをやめてサラダにしたり、コーラではなくミルクや野菜ジュースにしたり、というアレンジが考えられますね。食塩は、高血圧になる中高年で急に減塩しても効果は小さく、子どもの頃からの食塩控えめ生活が大事です。フライドポテトは無塩をオーダーすることも可能。サラダはドレッシングを半量にするなどしましょう。

 こうやって組み合わせを工夫しても、まだバランスが悪いのは事実です。上の表に掲載されていないビタミンやミネラル類も摂れていないはず。でも、悲観しないで。食事は毎食、パーフェクトな栄養摂取を心がけなくても大丈夫。大人では、日によってエネルギーや主要栄養素の摂取に大きなムラがあることがわかっています。1週間や2週間という幅のある時間の中で、全体として栄養素をまんべんなく摂れていれば問題がないのです。

 子どもの場合、大人ほど日ごとのムラに対応する力はないとされます。とくにエネルギーは、毎日コンスタントに摂るよう気をつけた方がよいのはたしかです。でも、毎日厳密に考える必要はありません。昼食でハンバーガーを楽しむなら、夕飯は脂質控えめの豆腐料理を中心に、野菜の煮物も追加して……などと工夫しましょう。

 私自身、娘が幼い頃、食事づくりが億劫なときなど普通にファストフードを利用していました。日頃の食事は家庭で。でも、忙しく働いた日の夕飯など、娘に背を向けて料理をするより、娘と話しながらハンバーガーやフライドポテトを食べるほうが、親にとっても娘にとってもよい時もありました。栄養は口から摂るものだけでなく、心の栄養も大切ではないでしょうか。