しかも、微生物による食中毒は表面化しづらく、患者は実際にはもっと多いと考えられています。
では、どう対策を講じたらよいのか?しっかり加熱も重要です
が、もう一つ、効果が著しく高い対策があります。なんだと思いますか?
調理前や食前のしっかり手洗いです。
なーんだ、と思わないでください。食品衛生の専門家も食品工場の工場長も、全員同意してくれるはず。人の手は一見きれいでも汚れています。人の手についた細菌やウイルスが食品に移って食中毒に、というケースはしばしばあります。
ウイルスを用いた実験で、手洗い前にウイルスを約100万個付け、流水で15秒間洗うと手に残るウイルスは約1万個。ハンドソープで10秒または30秒もみ洗いし流水で15秒間すすぎ洗いしても、手には約100個のウイルスが残っていました。ハンドソープで60秒もみ洗い流水15秒すすぎでも、約10個は残存。ハンドソープで10秒もみ洗いして流水15秒すすぎというのは2回繰り返すと、手に残ったウイルスは約数個にまで減ったそうです。
それぐらい、手には微生物が付きやすく取れにくいのが実態です。したがって、食品工場では通常、しっかり手を洗った後に手袋をします。素手では食品は扱いません。
家庭で、作ったものをすぐに食べるのであれば、そこまで気を遣う必要はありません。しかし、弁当は作ってから食べるまでに時間を要し、その間に細菌が増殖しやすくなっています。したがって、弁当やおにぎりを素手で作るのは避けたほうがよいでしょう。詰めた後、しっかり冷やして蓋をし、保冷剤を添えて運び、中での細菌増殖を抑え、食中毒を防ぎましょう。