エネルギー動乱Photo:PIXTA

大手・中堅新電力の2024年3月期決算が出そろった。ダイヤモンド編集部は官報などから集計し、業績の「復活度」ランキングを作成した。対象は今年4月分の電力販売量上位100のうち、同期決算でかつ財務指標を確認できた54社・団体。3回に分けてレポートする。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、前編として特に業績のV字回復を遂げた上位20社を公開する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

前期は経営危険度上位だった
MCリテールエナジーは3位に

 専業系、兼業系、出資元を問わず、2024年4月時点で新電力の電力販売量トップ100に入る54社・団体の財務を徹底比較した。

 官報掲載の決算公告などから24年3月期の自己資本比率、自己資本利益率(ROE)、流動比率を計算し、それらを23年3月期と比較。3指標を基にランキングを作成した。

 24年3月期までに電気代値上げや料金メニュー改定が一巡し、また新電力各社の悩みの種だった資源価格の乱高下も落ち着きを見せた。結果、24年3月期は多くの新電力にとって傷んだ財務が立ち直りを見せた時期となった。そこでダイヤモンド編集部は「復活度」に着目した。

 一部を紹介すると、3位には三菱商事、中部電力ミライズ、ローソンが出資するMCリテールエナジーが入った。同社は24年1月17日配信『新電力「経営危険度」ランキング【23年冬・完全版前編】ワースト9位に三菱商事&中部電系、ワースト上位3社は?』では、自己資本比率4.54%、ROEは▲203.15%という極めて厳しい数字をたたき出し、経営危険度ランキングでワースト9位に入っていた。

 当時の本編集部の取材に、同社は「23年度は効果的な市場活用や、その他各種取り組みを通じて、黒字化に向けて推移しております」とコメントしていたが、まさにその通り。24年3月期はV字回復を達成したのである。

 復活度ランキングで、1位、2位になった企業・団体はどこか。本編では、他にも大手新電力が名を連ねたトップ20の実名をお届けする。