4月5日、厚生労働省は「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を発表し、ジェネリック医薬品の使用割合をこれまで以上に増やすことを明らかにした。

 日本の薬剤費は8兆円ほどで、総医療費の5分の1を占めている。これを削減するために、価格の安いジェネリック医薬品の使用を広げようというわけだ。

 国が、ジェネリック推進の工程表を示すのはこれが初めてではない。2007年10月にも「後発医薬品の安心使用促進プログラム」で、2013年3月までに、国民が使う医薬品の30%をジェネリックに置き換える目標を立てていた。

 日本はジェネリックの医薬品への抵抗感が強く、諸外国に比べて使用率が非常に低い。だが、アクションプログラムで具体的な目標を示し、健康保険組合などの啓蒙努力もあって、2005年9月に金額ベースで5.9%だった後発品シェアは、2011年9月には8.8%まで増えている。

 だが、ジェネリックの使用率アップは、国の総医療費削減にどれくらいの効果をもたらしているのだろうか。ふと浮かんだ疑問から、ひとりあたり医療費と後発医薬品の使用率との関係を調べてみることにした。

ジェネリック使用率が高いのに
医療費が安くない県もある

 日本の医療費は公定価格制で、健康保険が使える薬はひとつひとつ国が「薬価」を決めている。

新しい薬が出来上がるまでには、300億~1000億円もの莫大な研究開発費用がかかる。こうしたコストも含めて新薬の薬価は決められる。

 一方、ジェネリック医薬品は、特許期間の切れた先発品と同じ有効成分で作られた後発の医薬品だ。すでに公表されたレシピをもとに薬を作ればよく、検査などにかかる費用は1億円程度なので、ジェネリックの薬価は先発品より抑えられている。