派閥解消なんてウソ
いつの間にか元に戻る

江本 裏金事件の発覚以降、岸田総理が派閥解消を唱えたこともあって、麻生派(志公会)以外の派閥は、いちおう解消することになりました。濵渦さんは、この流れをどう見ていますか。

濵渦 私は外向きの派閥が解消したといっても、自民党の内情はまったく変わっていないというのが実態だと思います。

 はっきりいえば、派閥解消なんてウソです。岸田総理は、すべての派閥を解消して、自民党を岸田総理だけのひとつの派閥にしたかったのでしょう。ある意味、自民党岸田派を大きくしたかっただけの話だと思います。

 結局、総裁選が行われると、また領袖たちのところに議員は集まるようになるし、派閥の当選回数の同期とかで集まるので、実態は変わりません。

江本 私が国会議員として活動していた1990年代(平成2~11年)もリクルート事件の記憶が新しく、政治改革があり、派閥解消がしきりに叫ばれて、自民党もかたちだけやっていましたが、いつの間にか戻っていましたからね。

濵渦 江本さんのご指摘のとおり、数年であのときと同じになると思います。

 やはり派閥というのは、もともと総理、総裁を目指すためにつくられたグループなんですから。議院内閣制のもとで与党の代表が総理大臣になるしくみがあるかぎり、派閥はなくなりません。与党第一党のなかで、いちばん大きな勢力を持つ議員が総理、総裁にいちばん近いわけですからね。

 派閥から総理大臣を輩出するために、政策の勉強をして、それぞれの議員の選挙区の陳情もこなして、各議員が当選するために必要な活動資金を捻出しようとパーティーをやっていた。それが派閥なんです。

 大昔はそういうことがなくて、総理、総裁を目指す大親分が、ひとりで資金を集めて、子分たちに配っていました。

 ただ、それが行きすぎて問題になり、「そういうことはやめよう」と三木武夫内閣のときに決まったから、派閥として集めるかたちになったんです。

経営者が政治家に転身
資金力が物言う時代に?

江本 今後は、どのようなかたちでお金を集めるようになりますかね。