自然災害から犯罪まで、子どもは日々、あらゆる危険に遭遇する。そうした危険から身を守る方法を紹介した書籍が池上彰総監修『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)だ。
何が起こるかわからない人生、万一への備えが運命を左右することもある。本書は、すべての親子にとって必読の一冊だ。
今回は『いのちをまもる図鑑』の刊行を記念して、著者の滝乃みわこ氏とイラストエッセイスト犬山紙子氏の対談を行った。犬山紙子氏は『女の子が生まれたこと、後悔してほしくないから』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を発刊したばかり。ともに「子どもを守る」ことを徹底的に考え抜いて書かれた両書の著者に、その重要性について語り尽くしてもらった。
(構成/ダイヤモンド社・金井弓子)
溺れる人を助ける正しい方法
犬山紙子氏(以下、犬山):わたしはコメンテーターの仕事もしているんですが、本当に絶望するようなニュースが多くて……。虐待、いじめ、闇バイト、性被害、そして水難事故。「また子どもが溺れて亡くなった」というニュースを聞くたびに胸が痛みます。だから『いのちをまもる図鑑』に「溺れた人にはペットボトルを投げる」といった具体的な対処法が書かれているのは本当にありがたかったです。子どもたちって正義感が強いから、知らないと「自分が助けに行かなきゃ、そうしないと人としてダメだ」みたいに思っちゃいますよね。
滝乃みわこ氏(以下、滝乃):溺れている人を泳いで助けに行くのは、やりがちなんですが危険なんですよ。
犬山:でも、ドラマを見ていると美談みたいな感じで、溺れた人を助けるシーンがあったりするじゃないですか。あれ、本当にやめてほしい。子どもたちがそういう行動を正しいと勘違いしてしまうと、本当に命を落としてしまうかもしれない。
滝乃:現実では、助けに行った人まで溺れて亡くなるケースが多いですからね。フィクションとして楽しむのはいいんですけど、それを現実と混同しないためにも、ちゃんと専門家が監修した本で知識を得てほしいと思います。
ライフジャケットを必ず着けて
犬山:わたしはテレビで「川遊びや海遊びをするときにはライフジャケットを着けて」って話を必ずするんですけど、なかなか知識が定着しない印象があります。
滝乃:水難事故については、私たちも「絶対に入れよう」という話をしていました。監修の国崎信江先生も、離岸流の危険性や溺れた人を助けることの危険性を何度も強調していました。「助けに行くな、道具を使え」と。たとえ周りから「冷たい」と思われても、それが正しい行動なんだということを伝えないと……ですよね。
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犬山:普段から少しずつ、自然に刷り込んでいくことが重要なんですよね。何か問題が起きたときに、初めて「これはダメだよ」と言うんじゃなくて、普段の会話や行動の中で価値観を育てていくことが、子どもにとっても大きな助けになると思います。
※本稿は、『いのちをまもる図鑑』と『女の子が生まれたこと、後悔してほしくないから』についての書き下ろし対談記事です。