桐朋ほど「効率の悪い」システムになってる学校はないです。なぜなら、お隣の桐朋学園小の卒業生も入ってくるし、仙川の桐朋小学校の卒業生も入ってくる。当然、中学受験を経て入学する生徒もいる。入学時点で学力が不揃いなんですが、高校段階でさらに高校入学組が入ります。
異なる教育環境で育ち、学力にばらつきのある子どもたちが、同じクラスで勉強するのですから、こんなに非効率なことはないんですよ。
入学段階で学力や知識が揃っていれば、中1の初めからスピード感を持って勉強させることができるし、高入生がいなければ中高一貫校のメリットとして効率の良いカリキュラムを組むことができるはずなんです。他校では、経営的な観点から高校募集を止めて完全中高一貫校化したり、英語ができる帰国生や私立小学校から来た子たちを別クラスしたりするところもあります。しかし、桐朋は絶対にしません。
要するに「いろんな子がいてしかるべき」という点に重きを置いているのです。だから、学力別クラスといったもので生徒を分類したりしない。
クラス全体でガンガン勉強を進めていくというよりは、勉強が遅れている子に対しては、先生が声をかけていって、きちんと勉強させるといった教育を実践しているわけです。
――これは、あえての非効率なんですね!?
そうだと思います。 昨今、新しく作られる学校だと効率重視で、ドップダウンで建てられる校舎が多くなっています。しかし、桐朋は各教科の先生方と話し合いを重ねて、彼らのこだわりを反映した校舎を建てたそうです。
桐朋はそれまで土足だったのですが、新校舎の完成を機に上履きにするか否かで議論が白熱したそうです。土足のほうが桐朋らしいという意見も挙がったようですが、結局は上履きになり、10年経った今も新校舎は綺麗なままです(笑)。
このように、議論を尊ぶ校風もこの学校の特徴の1つでしょう。非常に民主的な学校運営がなされていて、校長は選挙で決めています。