元々は1941年に軍人の子弟を教育するためにできた学校でした。その反動で戦後は非常に民主的で自由な学校になったという経緯があるのです。
学校全体に関わる大きな問題は教員が話し合って決めるので、効率的とはいえません。しかし、教員たちは自分の意見が学校運営に反映されるので、意欲的に教育と向き合うことができる環境であると言うこともできると思います。
――確かに、民主的というのか、学校全体が伸び伸びしているように感じられます。
それには立地も大きく寄与しているでしょう。都心部のビル学校のように1つのビルにさまざまな機能が効率的に集約されている環境が悪いとは思いません。
しかし、桐朋は武蔵野の面影を残す広大な林がそのまま残ってる。自然の中に学校がありますから、生徒のすぐ傍に昆虫がいて、鳥が飛んでいる。グラウンドをはじめとした施設も広いです。以前、伝統校の特徴としてお伝えした地学実験室もあります。それどころか、天文台もプラネタリウムもあります。大学受験のことを考えれば、関係ないものがいっぱいあるんです(笑)
こういう自然と広大な敷地を活用しながら様々な学問分野で生徒の興味を引き出しているんです。大学受験に向けて脇目も振らずに勉強させるという方針を取らないことが桐朋の魅力なんです。
――現役大学合格実績が振るわないと敬遠する人もいると聞きます。
東大への進学実績※がご近所の都立国立(くにたち)高校に負けてもあまり気にしない頃もあったのですが、今はさすがに危機感を持って大学受験にも力を入れています。それでもやはり桐朋の良さを守る前提でやってますね。(※2024年東大合格実績 現役6名/浪人6名/卒業生293名)
昨今は難関大学に合格することが重要視されますが、それよりも中高時代にどれだけ人間性を高められるのかというほうが遥かに大切なんですよ。何よりも自分のやりたいことをそこで見つけて、大学受験にチャレンジしていくことが大事です。
結果的に一浪する子が多かったとしても、自分の夢や目標を持って勉強する。そういった子が多いのも桐朋の特徴です。
――卒業生にもキラリと光る方がたくさんいます。