オールドメディアは契約解除で一件落着という感じだが、ネットやSNSはそうならない。「人気イケメン俳優の酒癖の悪さ」が注目を集めたことをきっかけに、国内ビール業界がこれまでウヤムヤにしてきた「不都合な真実」に目を向ける人が増えているからだ。
まず多いのは、「なぜ日本は人気俳優をCMに起用するのか」ということだ。ご存じの方も多いだろうが、世界では酒の広告は何かしら規制されることが多い。日本のように人気のある俳優やタレントが、ビールを飲み干して「やっぱ最高!」なんてCMを流すことができる国は少ない。
そのため今回の騒動をきっかけに、「海外みたいに有名人CMをやめればこんなトラブル起きないでしょ」「そもそも日本ってビールCM多すぎじゃない?」なんてやぶ蛇な話になっているのだ。
これはビール業界にとって避けたい話題であることは言うまでもないが、オールドメディアにとっても都合の悪い話だ。人気タレントを起用する広告は、巨額マネーが動くのでマスコミにとっても大事な収入源。中でも大手ビール企業は「大のお得意様」なのだ。
ただ、実はこのような話題よりアサヒビールが恐れていることがある。それは吉沢さんが「酒に酔って警察沙汰になった」という点に注目が集まり、「飲酒と犯罪行為の関係性」が論じられるようになることだ。
こういうムードが盛り上がると、ビールをはじめとした日本の酒は、「タバコ」と同じ運命、いやそれ以上に厳しく規制されてしまう恐れもある。
昨年2月の『ストロング系酎ハイの次は「居酒屋の飲み放題」が絶滅する!“タバコの次は酒”に現実味』という記事で詳しく解説をしたが今、WHO(世界保健機関)が各国政府にプレッシャーをかけてアルコールの規制強化を求めている。
例えば、アメリカでは1月3日、保健福祉省(HHS)のマーシー医務総監が、アルコール飲料のラベルに、がんリスクへの警告を含めるよう勧告した。「タバコ並」にすべきだというのだ。もし実現すれば、同国でアルコールに警告が表示されるのは1988年以来のことだという。