「それって単なる便秘じゃないかも…」危ない便秘を見極める方法とは?【専門医が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

便秘外来の専門医・松生恒夫氏によると、便の状態から腸のコンディションがわかるという。多くの人が悩む便秘は、にきびや吹き出物といった肌トラブルや痔だけでなく、高血圧や大腸がんなど命に関わる疾患とも深く関わっている。まさに便秘は万病のもと。まずは自らの「便」と向き合ってみよう。※松生恒夫氏『腸にいい習慣ベスト100』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。

便秘や下痢でつらい人が
知っておくべき「排便」の仕組み

 便秘(または下痢)でつらい思いをされている人が多くいます。ここではその排便について紹介していきたいと思います。

 大腸には、便をつくり、不要なものを体の外へ排泄する働きがあります。大腸の排便の動きを知ると、便通の感覚も少なからずわかると思います。

 まず、大腸において排便には3つの段階があります。

 第1段階:胃に食べ物が入ると、胃・結腸反射(十二指腸や小腸、大腸が肛門へと食べ物を進める動き)が起こります。次に下行結腸からS状結腸にかけて、強い収縮運動である大ぜん動が起こります。大ぜん動により、結腸に溜まっていた便は直腸内に移行します。

 第2段階:直腸に便が入り込むと、便意が起こります。便が直腸の壁を膨らませ、それによる刺激が脳に伝わることで、便意が引き起こされるのです。

 第3段階:直腸と肛門には常に肛門を締めている内括約筋と、自分の意思で肛門を締めたりゆるめたりできる外括約筋という2つの筋肉があります。便意が起こり、内括約筋が反射的にゆるんだあと、自らの意思で外括約筋をゆるめることで、肛門から便が排出されます。

 直腸まで便が入り込むと便意が起こると伝えました。腸のほぼ最終段階でやっと便意が起こることがわかったかと思います。