年長~小学生男児の攻撃性が女児よりも高い2つの理由、親の責任は重大だった!?写真はイメージです Photo:PIXTA

親同士の会話でよく聞かれる「女の子はおとなしくて男児は怪獣」というフレーズ。実際、データを取ると攻撃性が高い傾向にあるのは女児より男児の方が多いと出るが、それは単なる生物学的な問題ではなく、男子の方が親から体罰を受ける機会が多いという根深い問題があるからなのだ――。本稿は、森口佑介『つくられる子どもの性差 「女脳」「男脳」は存在しない』(光文社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

攻撃性の性差は
いつ現れるか

 子どもの攻撃行動は、早い時期から見られます。お子さんをお持ちの方は、運動能力の発達に伴い、お子さんからの攻撃がときにじゃれあいを超えているように感じることがあるかもしれません。子どもであっても、ごっこ遊びの中で敵に見立てた親を攻撃するとき、想像以上のダメージを与えることもあります。

 このような行動の性差はいつごろから現れるのか、2つの分析を基に見てみましょう。1つ目は攻撃性に関するメタ分析(メタ分析〈1〉*1)、もう1つは幼児期から青年期を重点的にメタ分析(メタ分析〈2〉*2)した研究です。

 身体的攻撃、言語的攻撃、関係性攻撃を分析したメタ分析〈1〉には、年齢についての分析も含まれています。身体的攻撃に関しては、早い時期から性差が見られます。研究方法によって結果は異なるのですが、概ね6歳からは確実に性差が見られることが示されています。幼稚園・保育園の年長から小学生にかけて、男児のほうが女児よりも、攻撃性が高いということです。これは2つのメタ分析に共通しています。

 メタ分析〈1〉によると、1~2歳ごろから性差が見られる可能性が示唆されています。これは言葉が発達しつつある時期なので、かなり早い時期です。

 身体的攻撃の性差のピークは18歳から30歳ごろの時期であり、男性による暴力犯罪や同性間の殺人がこれらの年齢で最も高いことと一致しています。身体的攻撃の性差は、年齢とともに大きくなっていくのです。

 メタ分析〈2〉では年齢の影響は出ていないのですが、2つの分析を合わせて考えると、身体的な攻撃性は男性において強く、20歳から30歳ごろまでにピークが見られるということになるでしょう。

*1 Archer, J. (2004). Sex differences in aggression in real-world settings: A meta-analytic review. Review of General Psychology, 8 (4), 291-322.

*2 Card, N. A., Stucky, B. D., Sawalani, G. M., & Little, T. D. (2008). Direct and indirect aggression during childhood and adolescence: A meta-analytic review of gender differ-ences, intercorrelations, and relations to maladjustment. Child Development, 79 (5), 1185-1229.