不機嫌な人は、リーダーに向いていない

 話が「休む」から少し離れますが、「ストローク(Stroke)」という心理学用語があります。簡単に言えば、人が他者から得る認知や承認、関心のこと。

 ストロークには「プラス」と「マイナス」と「なし」があります。プラスのストロークは、例えば人から褒められたり、認められたりすると得られるもの。逆にけなされたり、無視されたり、失敗したりするとマイナスのストロークを得てしまいます。

 この話を深掘りすると別のコラムになってしまうので、結論を急ぐと、それぞれの人の心にはストロークバンク(銀行)があって、プラスのストロークやマイナスのストロークがたまっています。そこでリーダーは、自分のストロークバンクの残高を常にプラスにしておくことが大事です。

 どういうことかというと、ストロークバンクにマイナスがたまっているリーダーは、職場でマイナスのストロークを撒き散らかしてしまうからです。

 もし、リーダーがマイナスのストロークを撒き散らしたらどうなるのでしょうか。

 マイナスのストロークを浴びた部下は嫌な気分になって前向きに仕事に取り組めなくなります。しかも悪いことに、銀行預金と違って人にまき散らかしたからといって、ストロークバンクのマイナスが減るわけでもないのです。

 一方で、プラスのストロークを部下に分け与えるリーダーは、職場の雰囲気が良くなり、全体の成績も向上します。もちろん、リーダー自身のプラスが減るわけではないので、自分も部下も前向きな気持ちでいられます。だからリーダーは、自分のストロークバンクにプラスをたくさんためておく。

 といってもリーダーだって人間ですから、機嫌が悪いときもあるし、嫌な気分の時もあります。そういう時は「休む」ことを意識して会社の近くを散歩するとか、場合によっては休暇を取ってリフレッシュして、マイナスをプラスに転換することも必要です。

 それは職場に限りません。家庭にマイナスのストロークを持ち込むとギスギスとして居心地が悪くなり、自分の居場所を失ってしまうかもしれません。リーダーは自身のストロークバンクにも気をつけてください。