スマホ買い替え策発表でも
上値重い中国株・下落する人民元

 24年12月中旬、中国政府は25年の経済政策を決める中央経済工作会議を開催。財政を積極的に運用し、国債の発行を増やす方針を示した。金融政策の運営スタンスは、「適度に緩和的」に転換し、不動産バブル崩壊によって厳しい状況が続く経済のサポートを優先する。

 財政・金融の緩和は、個人消費の拡大など内需底上げを図ることになる。金融緩和は特に、不動産バブル崩壊の後始末に有効とみられる。地方政府が銀行から資金を借り入れ、過剰なマンション在庫を買い取ることを支援する狙いもあるだろう。

 年が明けて1月3日、この方針に従い、国家発展改革委員会は、消費喚起に向けた新たな買い替え補助政策を明らかにした。振り返れば昨年7月、同委員会は3000億元(約6兆円)もの巨費を投じ、乗用車や家電の買い替えを促す補助金を拡充すると発表している。今回は、エンジン車からEVなど新エネ車への乗り換え補助金を2万元(約40万円)に拡大更新した。

 何より目玉は、スマホ、タブレット端末、スマートウォッチの通信機器3品目の買い替えにも補助金を支給することだろう。その他、農機具やバスなどの新エネルギー車両への補助金も拡充するという。

 これまでの傾向では、中国で経済対策が発表されると、本土株などの上昇につながることが多かった。リーマンショック後しかり、17年秋の党大会を控えた時期しかり。投資家は、ある意味直感的に、過去の記憶を頼りにして関連分野の株を買い上げることが多かった。

 しかし、今回、中国の金融市場は過去とは異なっている。12月中旬から本稿を執筆している1月7日までの1カ月弱の間、上海総合指数は5%程度、香港ハンセン指数は2%程度、それぞれ下落した。外国為替市場では、人民元の下落も鮮明だ。中国の長期金利は2.2%程度から1.6%程度まで低下した。