そもそもスマホが飽和状態!
アップルが新型iPhone値下げの異例
中国の国内投資家は、金融緩和の長期化などを見込んで国債を買いに回っているとみられる。まさに、「買うから上がる、上がるから買う」という国債バブルが発生している可能性が高い。中国人民銀行は年明け、改めて国債購入を控えるよう、国内の主要投資家に求めた。しかし、実際には国債への資金流入が続き、金利は低下し、国債バブルは拡大した。
通信機器3品目の買い替え補助金に対して、その効果に疑問を持つ市場関係者は多い。すでに需要が飽和している中で、既存商品の買い替え需要を刺激しても、多くを期待することは難しいというのがその見立てだ。
米調査会社IDCによると、中国市場におけるスマホの出荷台数は18年10~12月期に1億台を超えた。その後24年7~9月期、スマホの出荷台数は6880万台だった。出荷台数は趨勢(すうせい)的に減少傾向にある。主要ブランドごとに確認すると、より価格が安く、新しい機種へ需要がシフトしている。
24年7~9月期で出荷台数の増加率トップは、ファーウェイで前年同期比42%増だった。ファーウェイは独自開発した、5G相当の高速通信に対応する半導体を搭載した新型スマホ、「Mate60」シリーズを23年夏に投入。販売促進のために値下げしている。高性能なのに値ごろ感があることが、消費者のニーズをつかんだ。格安スマホが人気の、中国広東省に本社を置くスマホメーカー、vivoの出荷台数も同21.5%増だった。
一方、米アップルの出荷台数は伸び悩んだ。24年9月、生成AIを搭載した新型の「iPhone16」シリーズを発表したが、出荷台数は同0.3%減だった。機能があまり変わらないのであれば、iPhoneでなくていいと考える消費者が増えているようだ。これを受けてカ年明け早々、アップルは中国で最新モデルも値引きした。アップルがこうした販促を行うのは異例中の異例だ。
中国の消費者にとって、スマホの価値が変わりつつあるのかもしれない。不況から節約を優先し、相応の性能を持つ機種を手に入れられればいいと考える消費が増えているのだろう。同じことは、他の通信機器にも当てはまる可能性は高い。ということは、今回の中国政府による補助金範囲の拡大に関して、その効果を多くは望めないのではないか。