――このドラマは俳優の大半が日本人で、せりふの約7割が英語でした。俳優の英語力は国際的な評価の対象にならなかったということですか?

 その通り。俳優の英語力が評価の対象になるべきではありません。だってこの作品は、日本人が英語を話す人に出会う前の時代の話です。だから、そんなことはどうでもいい。

 この作品の面白い点の一つが、日本人の登場人物がそのまま日本語で話している、純粋に、自然に描かれていることです。英語圏の視聴者向けには字幕が付けられています。

 ほとんど日本人キャストで、話し言葉として日本語を使うのですから、感心しました。この作品のキャストに対して、視聴者の多くは馴染みがなかったことでしょう。にもかかわらず、FXが巨費を投じた英断は本当に注目に値すると思います。製作総指揮のレイチェル・コンドウやジャスティン・マークス、そしてチーム全体が、この物語を脚本通りに作り、それが正当に評価されるとビジョンを持って突き進んだことに対して、大きな敬意を払いたいです。

 SHOGUNのヒットによって、英語以外の言語の作品にも道が開かれたと思います。非英語作品でも多くの視聴者を獲得し、アメリカでマスにアピールができることが証明されました。これは、10年前には考えられなかったこと。色々と変化し、進歩したといえますね。

浅野忠信『SHOGUN』の演技が「日本語」でも世界に絶賛されたワケ【専門家が解説】インタビュー時のショット