経理部から嫌われるNG行動
(1) 交通費を水増し申請
これは明らかな不正行為ですが、実は最も頻繁に見られる不正行為の一つです。「ささいな額なら」と安易に考えてしまう方も少なくないようです。
例えば、最短通勤ルートでは交通費支給額が少ないため、より高額な私鉄ルートでの通勤を申請し、毎月数百円多く受給するケース。これもりっぱな不正です。
ただ、これはまだ比較的軽微な不正といえるかもしれません。中には、より深刻な水増し申請により懲戒解雇となった事例も存在します。
チリツモで200万円超の不正受給に!「かどや製油事件」
1990年代後半、ごま油などで知られるかどや製油で、ある不正受給事件が起こりました。従業員が虚偽の交通費を申請し、会社資金を横領したのです。
実際には東京都品川区に住んでいたにもかかわらず、「宇都宮市に転居した」という虚偽の転居届を会社に提出。約4年半にわたって、不正に通勤手当を受給しました。その総額は、約231万円に上ったといいます。さらにこの従業員は、無断での離席や業務放棄など、勤務態度も著しく不適切でした。
会社は懲戒解雇を断行。裁判所も「長期間にわたる多額の不正受給と悪質な勤務態度は、解雇の正当な理由となる」と判断しました。
この事件が示唆するのは、通勤手当の不正は容易に発覚し、それは会社との信頼関係を根本から破壊するということです。「ささいな不正なら許容される」という考えが、予期せぬ重大な問題に発展する可能性があります。
ささいな不正でも、それが積み重なれば数百万円規模の金額となり、最終的に懲戒解雇や損害賠償請求という結果を招きかねません。企業は適切な管理体制を整備し、従業員も「不正による利得」を追求しないよう自戒する必要があります。
皆さんは、経理部から通勤手当の申請ルートを却下された経験はありませんか?
確かに、最短ルートは乗り換え回数が多かったり、徒歩区間が長かったりと、利用者にとって不便な場合があります。そのため、代替ルートを申請することは珍しくありません。
最短ルートから若干逸脱する程度であれば、経理部も柔軟に対応することが多いでしょう。ただし、普段から不適切な行為が目立つ従業員に対しては、より厳格な審査が行われる可能性がありますのでご注意を。