上場廃止ラッシュ2025 東証の淘汰がついに始まる!#2Photo:Bloomberg/gettyimages

東京証券取引所の上場企業に適用される新上場維持基準は、株式の流動性を示す流通株式比率も対象となる。その基準に現時点で抵触する銘柄をリストアップしたところ、メガバンクや総合商社などの出資会社も上場廃止の危機にさらされていることが分かった。さらに流通株式比率を巡り上場企業とアクティビストの攻防戦も勃発している。特集『上場廃止ラッシュ2025』(全11回)の#2で、その全貌を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

プライム市場の流通株式比率基準は35%以上
スタンダードとグロースは25%以上

 流通株式比率は、発行済み株式数のうち、銀行や経営者、10%以上所有する大株主の持ち分など、流通可能性が認められない固定株を除いた株式の比率だ。プライム市場は35%以上、スタンダード市場とグロース市場は25%以上の流通株式比率がなければ上場廃止となる。

 一般投資家が売買できる流通株式が極端に少ない企業に上場の資格はない、というわけだ。この流通株式比率基準を2024年にクリアした企業は、幾つか存在する。

 例えばプライム上場のオプティムは24年3月末時点で流通株式比率が29.6%だったが、同年12月に35.2%に達し、基準をクリアした。そのために実行したのが、創業者で代表取締役社長の菅谷俊二氏による保有株式の一部売却だ。菅谷氏が24年3月末時点で保有していた株式の比率は62.12%に達していた。

 逆に大株主が株式を買い増して基準をクリアした企業もある。

 スタンダード上場の富士古河E&Cは24年3月末時点で流通株式比率が24.3%と、基準の25%以上に達していなかった。しかし46.24%を持つ筆頭株主の富士電機との株式交換により、同年10月に完全子会社化が決定。25年1月30日に上場廃止となり、改善計画を撤回している。

 2社の例から分かるのは、流通株式比率をクリアするためには、大株主が持ち分を手放すか、買い増して上場廃止するしかないということだ。現時点で流通株式比率が基準に満たない企業が市場に生き残ろうと思えば、いずれかを選ばなければならない。

 では今、その選択肢を突き付けられている企業はどこか。そこには誰もが知る大企業やその関連会社も含まれており、上場廃止の崖っぷちでアクティビストの攻勢にさらされている企業も存在することが分かった。次ページで明らかにする。