総予測2025#62Photo by Yoshihisa Wada

東京証券取引所がコーポレートガバナンス・コードを策定して丸10年。この間、上場企業は社外取締役の増員など対応に追われたが、東証を傘下に持つ日本取引所グループの山道裕己CEOは「改革はまだ始まったばかり」と言う。特集『総予測2025』の本稿で、その詳細をお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

登山の「1~1.5合目」にいる感覚
企業統治改革は始まったばかり

――これまで行ってきたコーポレートガバナンス(CG)改革の評価は。

 登山に例えれば、1合目か1.5合目にいる感覚です。要するにまだまだ始まったばかり。

 最近は上場廃止する企業が増えていますが、そのことで「取引所として上場企業数が減ることをどう思うか?」とよく聞かれます。しかしわれわれが重視しているのは、上場企業の「質」です。質が高くならなければ、国内外の投資家から資金は集まらない。

 おそらくCG改革は未来永劫続く。「ここまでできたらOKです」と言い始めると、そこで進歩が止まってしまうからです。

 例えば5年後に「今何合目ですか?」と聞かれたとしても、ひょっとしたら1合目か1.5合目のままかもしれない。今より質が向上したとしても、CGで要求される水準そのものが上がる可能性もあるわけです。そうなってもおかしくない。

――では2合目に向かう2025年のテーマは何ですか。

企業統治改革はまだ始まったばかりだと、山道裕己・日本取引所グループCEOは言う。では東京証券取引所は次にどんな改革を仕掛けようとしているのか。次ページで山道氏に迫る。