激安株を狙え#10Photo:Palto/gettyimages

東京証券取引所の上場区分の見直しにより、どうしても「足切り」される企業が発生する。プライム市場への残留には流通時価総額100億円以上などが条件だが、収益が低迷し、成長戦略を描きにくい企業にとっては厳しい条件だ。特集『激安株を狙え』(全13回)の#10では、時価総額が特に低い残留企業の、実現性が乏しい「改善計画」を検証するとともに、スタンダード市場への移行を選んだ企業トップを直撃してホンネを聞いた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

プライム時価総額、下位は20億円台も
残留期限「後出しじゃんけん」で退場必至か

 流通時価総額21.5億円――。Wi-Fiルーターの貸し出しなどのサービスを展開するワイヤレスゲートは、東京証券取引所プライム市場に上場しているが、流通株式時価総額100億円以上、1日平均売買代金2000万円以上というプライム市場の上場維持基準を満たしておらず、経過措置適用企業となっている。

 2014年にはヨドバシカメラと組んで、月額979円からの格安スマートフォンを販売。この年には株価が一時6500円を超えたこともあったが、足元では200円台が続く。

 Wi-Fiサービスは過当競争であり、格安スマホもNTTドコモやKDDIのauなど通信大手が進出。同社は優位性を失った。同じ規模のプライム残留企業が続々とスタンダード市場への移行を表明する中、ワイヤレスゲートは29日時点で移行を表明しておらず、あくまでプライム残留を目指す方針だ。

 一方、かつては「一家に一台」置かれていた“あの製品”を製造していた名門企業は、プライム残留を断念してスタンダード移行を表明した。

 市場区分の見直しの後になって経過措置の期限が決まる状況に「後出しじゃんけん」との批判もある中、残留希望組の“悪あがき”とも取れる改善計画の不十分さを検証しつつ、断念した企業のトップを直撃し、今後の戦略を聞いた。