ベビーせんべい「ハイハイン」から重金属「カドミウム」が検出されたという情報がかけ巡ったからだ。
1月14日、台湾の衛生福利部食品薬物管理署(FDA)が、亀田製菓が製造し台湾に輸出された「ハイハイン」から、基準値を超えるカドミウムが検出されたと発表した。
ご存じの方も多いだろうが、カドミウムは高度経済成長期の公害病「イタイイタイ病」の原因となった有害物質で、中国の水質汚染でもたびたびその名が取り上げられている。
ちょっと前に「中国産」で叩かれた亀田製菓の乳幼児向けの米菓から、中国の汚染を象徴するカドミウムが検出された――。そう聞いて「ネット民」の皆さんが黙っているわけがない。ネット掲示板には《亀田製菓、中国で製造したベビーせんべい「ハイハイン」からカドミウム検出www》というスレッドが立ち、鬼の首をとったかのように、こんな声で溢れている。
「見ろ、やっぱり中国産は危ないって事が証明されたぞ」
「チャイナの汚染米使ってるような企業だから当然だ」
「恐ろしい、何も知らずにハイハインを子どもにあげていました。台湾が亀田製菓の闇を暴いてくれて助かった」
亀田製菓批判は
バイアスだらけ
ただ、そんな風に盛り上がっているところに水を差すようで大変恐縮なのだが、この問題も亀田製菓だからということで、かなり大袈裟に話が盛られている。
まず、大前提として「ハイハイン」の原料は国産米100%で、新潟県の工場でつくられている。これが「汚染菓子」だというのなら、日本の米が汚染されていることになってしまう。
次にハイハインが「危ない」というのもミスリードだ。日本国内でこの菓子を乳幼児に与えて健康被害が起きたという話も聞かなければ、イタイイタイ病などの公害病が起きていないことからもわかるように、ハイハインのカドミウムは大騒ぎするような値ではない。
では、なぜそれが今回引っかかったのかというと、台湾のカドミウムの基準が厳しいからだ。世界中から輸入される食品が引っかかっていて、日本の水産物も例外ではない。