エリアでの売れ行きは
コロナ前と大きく変わった
首都圏のマンションの売れ行きに異変が見られる。売れ行きを計る指標として、売り出されている中古の在庫件数に対する成約件数の割合を算出した。これが高いほど、売れていることになる。
首都圏がコロナ禍に見舞われる前の2019年の平均は6.7%、コロナ禍の2020年の平均は6.9%だった。これは、2008年以降17年間の平均7.3%よりやや劣る水準である。コロナ禍ではステイホームを強いられ、家に対する不満やリモートワークのスペースニーズが生まれ、需要が急増する。こうして、2021年の平均は9.5%まで上昇し、過去最高になった。
このニーズが一巡すると、22年の平均は7.7%に下がり、コロナ明けとなる23年の平均は6.6%まで下がり、24年の平均(11月までの累計値)は6.8%でほぼ横ばいである。
これだけ見ると、コロナ前に戻ったと見ることができるが、エリアでの売れ行き差はコロナ前と大きく異なる。これが今回の「異変」に相当する。
都心3区は最近売れている。コロナ特需のあった2021年に7.4%となってから、2022年は6.5%まで下げるが、23年に7.0%と回復し始め、24年は8.0%と過去最高値を出している。
23年3月には首都圏新築マンションの平均価格が1億4360万円となった。これは都心の好立地大規模物件が2棟同時に坪1000万円(100平方メートルで3億円)超で販売されたからだが、相場の急伸を伝える象徴的なニュースである。
このニュース以降、都心のタワーマンションの買い手は自宅を探す実需だけでなく、中国人を初めとする外国人、日本の法人、個人の富裕層まで「にわか投資家」は急激に増えた。
このため、中古の好立地のタワーは即日売り出された価格満額で売れていったりした。単価の前年比は24年に118%に急上昇した。コロナ前の20年は103%、コロナ禍の21年112%、22年に113%と加速し、コロナ後の23年は103%に落ち着いていた中で、急に過熱したのだ。