難関校で唯一志望者増の「渋渋」

 ここ数年、女子受験生の共学化志向が指摘されている。2月1日午前の2024年受験者数でランキングすると、1位女子学院から20位大妻の間に共学校が4校(9位安田学園、17位中央大学附属、18位広尾学園、19位中央大学附属横浜)あり、共学校がこの受験者数合計の16%を占めている。男子の場合は共学校2校(安田学園と早稲田実業学校)で7%だったことを考えると、確かにそのように思える。また、女子校に比べると総じて倍率が高めになっており、果敢に共学校に挑んでいる様子もうかがえる。

 もう一点、男子の場合は開成のように例年1200人前後の受験生が集まる学校があるのに対して、女子の場合は最多の女子学院が唯一600人台で、難関・上位校ほど少しずつ減少傾向にあることが注目される。難度よりも自宅からの通いやすさを重視する保護者も多いようで、受験生が分散することで実倍率はおおむね2倍台にとどまる。3倍を超えると、その翌年は志望者数が減少する。今回の四模試でもその傾向ははっきり示されている。

 Aランクの難関校から見ていこう。24年受験者数は女子学院、桜蔭、雙葉の順で、いずれも2月1日に1回だけ入試を行う東京女子御三家が人気となっている。642人が受けて2.27倍(23年2.35倍、22年2.57倍)の女子学院(千代田区)は、前年同期比の志望者数動向で、10月・11月・12月と前年並みが続いており、出願者数は前年比2人減となった。25年も600人台半ばの受験生が集まることになりそうだ。

 24年に565人が受験して1.97倍(23年2.09倍、22年1.89倍)だった桜蔭(文京区)は、1割減が続いていた。出願者数は前年比49人減で、25年は1.8倍程度になりそうだ。359人が受けて2.9倍(23年2.91倍、22年2.86倍)の雙葉(千代田区)は微減傾向で、25年はいささか緩和しそうである。246人が受けて2.96倍(23年3.19倍、22年3.48倍)の洗足学園[1回](川崎市高津区)([ ]内は入試名。以下同)は1割半減が続いており、25年はさらに緩和するだろう。女子校で初日に3倍は、女子受験生には少し高いハードルである。

 共学校で1日に1回だけ入試を行う早稲田大学系属早稲田実業学校(国分寺市)の志望者数は、10月・11月と前年並みだったが、12月は微減に転じた。この点が増加基調の続く男子とは異なる。募集人員は約40人(男子約70人)の狭き門で、24年は196人が受験、24年も23年も22年も3.92倍だった。出願者数は前年比8人増となった。

 渋谷区にある二つの共学校も、初回入試にしてはえらく高倍率だ。219人が受けて3.98倍(23年4.74倍、22年4.61倍)の渋谷教育学園渋谷[1回]は、10月の1割半増から12月には1割強増とさらに増えているように、難関校としては珍しく上昇傾向にある。この点は、志望者数2割減の男子(24年3.23倍)と大いに異なる。25年は4倍台に戻すことが確実だろう。広尾学園[1回本科]は260人が受けて5.2倍(23年6.27倍、22年5.29倍)とさらに狭き門となっており、さすがに12月には1割半減となった。25年の5倍割れは確実な情勢だが、男子(24年3.33倍)の水準まで緩和することはなさそうだ。