そう問いかけると「小さいころからスマートフォンやSNSなどが身近にあり、さまざまな価値観に触れていて、柔軟な視点を持っているところ」と答えた。
MZ世代はインターネットに慣れ親しみ、SNSの活用に長けている。アーティストはオリジナル作品をいつでもオンライン上に公開でき、ユーザーはその中から好きなアーティストや楽曲を見つける。
SNSを活用するので、視聴者は日本だけではなく、世界に広がる。熱烈なファンになると、現地でコンサートを行えば、喜んで足を運んでくれる。アーティストの活動の舞台が、自然と世界になるわけだ。
SNS時代以前といえば、まずは日本で成功を収めてから米国など海外を目指した。当然、海外では知名度が低いので新人扱いされ、ラジオ局周りから始めるしかない。松田聖子やDREAMS COME TRUEなど日本では成功を収めるアーティストも地道なプロモーション活動からスタートした。
英語圏が支配してきた音楽業界に変化
誰もが世界の頂点を目指せる時代
MZ世代はスポーツの世界でも活躍するが、アプローチの仕方がアーティストとは異なる。
例えば野球やサッカー。野球選手は米大リーグを目指し、サッカー選手は欧州での活躍を夢見る。誰もが憧れる世界最高峰の舞台には、対戦したい選手がそろっている。そこで勝ってこそ、世界最強の称号を得られる。スポーツ選手の成功の基準は、対戦相手に勝つことだ。つまりナンバーワンを目指すことになる。
一方のアーティストはというと、独創性が評価基準になるので、オンリーワンを目指す。
「自分から世界を目指す」というより、「ファンの前で演奏したい」、言い換えると「求められているところに行く」という感覚に近いと言う。世界進出といっても気負いもなければ力みもなく、こだわりもない。あくまでも自然体なのだ。