死亡リスクの低下と関連する
コーヒーを飲むタイミングとは?
コーヒーは多くの人の朝の習慣として定着しているが、コーヒーをいつ飲むかが健康や寿命に影響するなどということを考えたことがあるだろうか。「European Heart Journal」に1月8日掲載された研究によると、コーヒーを飲むタイミングは、飲む量と同じくらい重要な可能性があるようだ。
この研究によると、午前中にのみコーヒーを飲む人は、コーヒーを飲まない人に比べてあらゆる原因による死亡(全死亡)および心血管疾患による死亡のリスクが有意に低いことが示されたという。
論文の上席著者である、米テュレーン大学公衆衛生学教授のLu Qi氏は、「これはコーヒーを飲むタイミングのパターンと健康への影響を調べた初めての研究だ。通常の食事指導で、摂取タイミングについてアドバイスすることはほとんどない。しかし、将来的には、摂取タイミングの指導を検討するべきなのかもしれない」と欧州心臓病学会(ESC)のニュースリリースの中で述べている。
Qi氏らは、1999年から2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)参加者のうち、食事データが完備した4万725人とのデータを用いて、コーヒーの摂取タイミングのパターンと全死亡および原因別死亡との関連を調査した。
1日を、午前(午前4時から11時59分まで)、午後(正午から午後4時59分まで)、夕方(午後5時から午前3時59分まで)に分け、NHANES参加者のコーヒーの摂取タイミングを調べたところ、主に午前中に摂取し午後や夜にはほとんど摂取しないパターン(午前摂取パターン、36%)と、1日を通して摂取するパターン(通日摂取パターン、16%)に大別できることが判明した。
この分類の妥当性は、Women’s and Men’s Lifestyle Validation Study参加者のうち7日間の食事記録が完備した1463人(女性772人、男性691人)のデータを用いた検証でも確認された。摂取パターンは、女性、男性の順に、午前摂取パターンが61%と62%、通日摂取パターンが19%と18%であり、残りはコーヒーを摂取しない人であった。
中央値で9.8年に及ぶ追跡期間中に、NHANES参加者の間で全死亡が4295件、心血管疾患による死亡が1268件、がんによる死亡が934件生じていた。
カフェイン入り/カフェインなしコーヒーの総摂取量、睡眠時間などを調整して解析した結果、コーヒーを飲まない人と比べて午前摂取パターンの人では全死亡リスクと心血管疾患による死亡リスクが有意に低く、ハザード比(95%信頼区間)は全死亡で0.84(0.74〜0.95)、心血管疾患による死亡で0.69(0.55〜0.87)であった。