松本さんは個人で開いた飲み会が問題になっているが、中居さんの場合は、フジテレビ社員が関わっているという証言がある。しかも、松本さんの場合、「週刊文春にしか被害告発をしないAさん」という感じで、第三者が事実関係を確認する術がない顔の見えない被害者だが、中居さんの場合そうではない。港社長をはじめ多くのフジテレビ社員が実名で把握している人物で、密室で何があったのかを相談されている上司などもいる。
つまり、松本さんのケースと異なり、中居さんの問題はフジテレビ自体が「共犯者」「加害者」になっているので、組織の根幹を揺るがす恐れのあるトラブルだ。
そこに加えて、「女性の心身の回復とプライバシーの保護を最優先」という対応をとっていたのだから、「番組終了」に動かないわけがない。
しかし、フジテレビはそうしなかった。前述したように、松本さんが不在になった後も、中居さん1人だけになって「だれかtoなかい」としてリニューアルしているのだ。しかも、何事もなかったかのように冠特番も制作されている。「だれかtoなかい」も昨年末に「女性セブン」の第一報がなければ、おそらく今も普通に放映されていたはずだ。
この対応は「女性の心身の回復とプライバシーの保護を最優先していました」という港社長の説明と大きく矛盾する。ストレートに言ってしまうと、一般人からすれば「嘘」に見えてしまうのである。
BBCの不祥事対応に学ぶ
フジテレビが“本当にやるべき調査”
外部の弁護士による調査によって、この「矛盾」がどう説明されるのかによって変わってくるが、もしその調査報告でも、今回のような一般社会の感覚とかけ離れた「ギョーカイ人の理論」で押し切られていたら、いよいよ本格的にフジテレビはおしまいだ。
これまで不祥事企業に対して、「内部調査が甘い」とか「この際、膿を出しきれ」など上から目線でもの申していたのに、いざ自分の身になってみると、弁護士を使ってお手盛りの内部調査しかしないとなれば、批判はさらにヒートアップする。