生理現象か病気の前兆か
見分ける方法は?

 生理的飛蚊症と、病的飛蚊症との見分け方はあるのだろうか。

「飛蚊症として自覚される浮遊物の数は一つの判断基準となりますが、残念ながら生理的飛蚊症と病的飛蚊症を見分ける絶対的な指標はありません。自己判断は禁物で、飛蚊症が出たら一度は眼科で見てもらいましょう」

 受診の結果、生理的な飛蚊症だと判明すれば、その後の定期通院の必要はないし、安心して通常通りの生活を送ることができる。基本的に、硝子体に生じた濁りは生涯にわたり存在するが、時間の経過とともに影が薄くなって気にならなくなってくる場合も多い。

 とはいえ、視界がチラチラするのはうっとうしい状況であることに変わりはない。治療法はないのだろうか。

「保険適用外で自費治療にはなりますが、大きい輪っかや浮遊物が見えてわずらわしいという人に対して、レーザーで硝子体のにごりを細かく砕く治療があります。これは美容業界におけるシワ取り・シミ取り手術にあたるもので、導入している施設はまだ少ないです。当院では行っていません」

 飛蚊症は、老眼や白髪、シミ・シワと同じで、加齢とともに誰にでも起こる生理現象。食生活や生活習慣で飛蚊症を防ぐことはできない。

「コンタクトレンズ使用の有無や、パソコンやスマホの使い過ぎ、ストレスや肉体疲労とも関係はありません。大切なことは、症状が出た時や、急激に変化した時には、そのタイミングで受診すること。これに尽きます」

 飛蚊症の症状が出たり、飛蚊症の症状が変わったりした場合は、その原因を特定するためになるべく早めに眼科を受診し、目の検査を受けるきっかけにするとよいだろう。

(監修/西葛西・井上眼科病院副院長 戸塚清人)