対トランプで中国大転換の衝撃、米中の狭間で問われる石破外交1月20日、米ワシントンのホワイトハウスの大統領執務室で、政府効率化省に関する大統領令に署名する米大統領のトランプ Photo:AFP=JIJI

「もしトラ」の「もし」が外れて名実共に「トランプ劇場パート2」が幕を開けた。1月20日の就任演説でもトランプは早々に「米国第一主義」を全開させた。首相の石破茂はトランプとどう向き合えばいいのか。日本政府は就任式に初めて外相の岩屋毅を派遣、石破自身も2月上旬での首脳会談に意欲を示した。

「日米関係を世界の平和や経済にどう生かすことができるかを中心に真摯に議論し、信頼関係を確立したい」

 しかし、予測不能のトランプに対して「明快な処方箋はない」(石破周辺)というのが実情だ。活路があるとすれば、緊張関係にある米中関係の橋渡し役を果たせるかどうかに懸かる。トランプは大統領就任に先立って中国からの輸入品に追加関税を課すことを公言。国務長官に就任したルビオは1月15日の議会公聴会で中国を名指しで批判した。

「中国共産党は米国が直面してきた中で最も強力で危険な敵だ」

 これに対して中国の国家主席、習近平は正面衝突を避ける。17日のトランプとの電話会談でも「両国関係の進展を望む」と述べた上で互いにプラスになる「ウィンウィン」の関係構築を呼び掛けた。大統領就任式に国家副主席の韓正を特別代表として出席させたことも習の配慮をうかがわせた。

 トランプもSNSを通じて「習氏と私は世界をより平和で安全にするため、できることは何でもする」と投稿した。