自公過半数割れの政界激変をもたらした衆院選の“戦後処理”がなお続く。与党では公明党で党首が交代した。現職代表の石井啓一が落選したためだ。新代表は国土交通相だった斉藤鉄夫。自民党総裁の首相、石破茂も就任からまだ2カ月余。初心者マークの党首同士が、しかも少数与党でのかじ取りを担う。
野党側も混乱続きだ。国民民主党は代表の玉木雄一郎を巡る女性スキャンダルが発覚して中途半端な状況から抜け切れずにいる。12月2日の石破の所信表明演説に対する代表質問に玉木が立つことはなく、代わって登壇したのは衆院当選3回の国対委員長代理の浅野哲。国民幹部は「若手にチャンスを与えるため」と語るが、玉木の女性問題を調査する党倫理委員会の結論が出ていないことが背景にあるのは明らかだ。
こうした中で再び“お家騒動”が起きたのが日本維新の会だ。選挙戦を仕切った馬場伸幸が代表を退任。12月1日に実施された代表選で共同代表だった大阪府知事の吉村洋文が選出された。しかし、馬場が代表を辞めなければならないような結果だったのかどうか。維新の獲得議席は公示前の43議席から5議席減の38議席、比例代表の得票も2021年の衆院選に比べると300万票近く減らして約510万票。ただ、大阪府内の全19選挙区では全勝。自民党候補の比例代表での復活当選も許さなかったほどの完勝だった。
さらに京都、滋賀の2県と、近畿圏以外でも広島、福岡の小選挙区で議席を確保した。中でも福岡11区では自民党の元総務相で実力者の武田良太に維新の新人が競り勝っている。自民党の選対幹部も代表交代に懐疑的だった。