![資金難の中国企業、トランプ氏の貿易戦争に対し脆弱](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/3/2/650/img_3206bb3d79b5c59a929ec9c0b9f515ae221069.jpg)
中国の再生可能エネルギー企業である新特能源(Xinte Energy)は自社のウェブサイトで、「世界の隅々まで光と暖かさを届けている」とうたう。同社はその一方で巨額の赤字を出している。
太陽光パネルの構成要素であるポリシリコンを製造する新特能源はこのほど株主に対し、2024年決算で40億元前後の損失を計上するとの見通しを示した。この額は5億ドル(約760億円)余りに相当する。重要産業の育成を求める政府の強い圧力が激しい 激しい競争と価格競争 を招く一方で、需要は勢いを失っており、同社の利益に打撃を与えている。
中国にとっては不幸なのは、このような状況にあるのが太陽光発電業界だけではないということだ。中国全土の企業は、過剰生産能力と景気低迷の中で消費不振に苦しんでおり、手元資金を流出させている。
ドナルド・トランプ米大統領が中国製品に対する新たな10%の関税を導入し、追加措置もあり得ると脅しをかけて圧力を強めている今、この問題のため中国は異例なほど脆弱(ぜいじゃく)な状態にある。企業が過剰供給分を海外に売り払う中で、輸出は中国経済にとって数少ない明るい材料となってきたが、関税率が上昇して米国の買い手のコストが増大すると、それははるかに難しくなる。
中国本土で上場する企業の4分の1近くが、データが入手可能な直近の四半期に当たる2024年7-9月期に純損失を計上した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)がA株市場に上場している中国企業の提出文書を分析したところでは、この割合は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の2倍超になっている。
中国本土市場に上場している約5000社で構成する、ファクトセット社の指数によると、中国の上場企業の利益率は最近、2009年以来の低水準に落ち込んだ。公式統計によれば、2024年の中国大手企業の利益は約3.3%減少し、3年連続の減益となった。規模の小さい家族経営企業の多くも苦戦している。