![日産 消滅危機#22](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/6/a/650/img_6a092a097be0eeef9fe413790f82d092232205.jpg)
日産自動車とホンダが経営統合の協議を打ち切ると正式に発表した。日産の経営再建に向けた取り組みは振り出しに戻ることとなった。人員の削減や工場の閉鎖など構造改革を進めて業績を立て直す考えだが、想定通りいくか不透明で鴻海(ホンハイ)精密工業との提携も現実味を帯びてきている。果たして日産は再建できるのか。特集『日産 消滅危機』の#22では、決算で示されたリストラ策の具体的な内容を分析しながら、自力再建の実現可能性に迫る。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
内田社長はホンダの子会社化提案に疑問符
日産の経営再建は振り出しに戻る
日産自動車とホンダは13日、経営統合の協議を打ち切ったと表明した。同日に開催された両社の取締役会で正式決定した。統合が実現すれば、世界3位の巨大グループが誕生するはずだった。日産の経営再建に向けた取り組みは、ホンダとの統合検討開始から1カ月半で振り出しに戻ることとなった。
日産の内田誠社長は同日開いた決算会見で、「(日産がホンダの完全子会社になった場合)自主性や日産のポテンシャルを最大引き出すことができるのか確信を持つに至らず、提案を受け入れることができなかった」と、経営統合に向けた協議を打ち切った理由を説明した。
当初、経営統合は持ち株会社を設立して、両社がぶら下がる形での統合を目指していた。ただ、日産の構造改革案の取りまとめが難航していることに、しびれを切らしたホンダが日産に子会社化を打診。これが強い反発を招いた。内田社長は「うまくいくかどうか疑問に感じた」と打診を受けた時の心境について振り返った。
ホンダの三部敏宏社長も同日にオンライン会見を開催。三部社長は、「両社で納得できる合意点を見いだせず残念だ」と述べた。子会社化を打診した理由については、「ワンガバナンスの体制を早期に確立することが最優先事項と考えた」と明かした。
統合協議は終了するが、昨年8月に発表した次世代電気自動車(EV)の開発に向けた提携は続けるという。では、ホンダとの経営統合の道が絶たれた今、日産は再建できるのか。次ページでは、決算で示されたリストラ策の具体的な内容を分析しながら、自力再建の実現可能性に迫る。