
日産自動車の新体制がスタートした。前任の内田誠氏に代わって登板したイヴァン・エスピノーサ社長は、いかにして選出されたのか。特集『日産 消滅危機』の#28では、指名委員会における社長選考プロセスの裏事情を明かす。また、同時に発足した日産の最高意思決定機関、エグゼクティブ・コミッティ(EC)の布陣には傀儡政権の影が散らつく。こうした上層部人事の混乱は、経営再建の足かせになりかねない。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)
社長候補は外国人幹部3人
エスピノーサ新社長の選出プロセスとは?
話は1カ月前にさかのぼる。3月6日、日産自動車では指名委員会が開催されていた。議論されたのは、内田誠前社長兼最高経営責任者(CEO)の解職と、後任の社長人事についてである。
日産には、少なくとも3人の社長候補がいた。チーフ プランニング オフィサー(CPLO)だったイヴァン・エスピノーサ氏、北米事業トップを務めていた最高財務責任者(CFO)のジェレミー・パパン氏、そして、商品ごとの収益・コスト管理を徹底するチーフ パフォーマンス オフィサー(CPO)に抜てきされたギョーム・カルティエ氏の外国籍幹部だ。
日産では、取締役の候補者はまず指名委員会で選ばれ、その後、取締役会の承認をもって正式に就任が決まる。結果的に、新社長として抜てきされたのはエスピノーサ氏だったのだが、指名委員会の投票では“薄氷の勝利”で選ばれていたことがダイヤモンド編集部の調べで分かった。
指名委員会という“密室”ではどのような議論がなされていたのか。次ページでは、今回の社長選考プロセスの裏事情を明かす。
また、社長の就任に伴い、日産の最高意思決定機関であるエグゼクティブ・コミッティ(EC)も新たな体制でスタートした。しかしながら、新たに登用されたECメンバーには、いわゆる“傀儡政権”を想起させるような懸念も囁かれている。上層部人事が混乱しているのはなぜなのか。