
米自動車業界の幹部はドナルド・トランプ大統領の政策に異議を唱えており、今週は米フォード・モーターのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)が首都ワシントンを訪れ、関税措置は自動車メーカーに打撃を与えることになると議員らに警告した。
事情に詳しい関係者らによれば、ファーリー氏はメキシコとカナダへの関税は、海外の競合企業を利することになると主張。また、フォードの声明によれば、同氏は連邦政府による電気自動車(EV)やバッテリー向け補助金の重要性を強調し、急速に台頭する中国のメーカーにさらに後れを取らないためにも必要だと述べている。
ファーリー氏は今週開かれた調査会社ウルフ・リサーチ主催のイベントで、「自動車業界では現在、世界規模の激烈な戦いが繰り広げられている」と発言。国内の自動車業界や全体的な製造業を強化するというトランプ氏の公約に期待を寄せてはいるものの、「今のところ、目にしているのは多くのコストと混乱だ」と付け加えている。
自動車業界幹部らはここ数週間、優先課題のリストを掲げワシントンでロビー活動を展開。テクノロジー業界など他セクターのCEOらと同様、政権高官やホワイトハウスに近い人物らと会談し、トランプ氏に対し自社の課題を直接訴えようとしている。
貿易関連では特にそうだが、トランプ政権の優先政策は国境を越えた事業展開を行い、製造業務で輸入に大きく依存する業界に動揺を与えている。提案されている関税は、一部で利益率をさらに圧迫する恐れがある他、EV向けの政府支援が撤回されれば、この技術に関する損失が拡大することも懸念される。
トランプ氏は13日、相互貿易に関する覚書に署名し、連邦機関に対し他国の既存の関税に合わせ米国の関税を調整する方法を検討するよう指示。この命令は直ちに関税を課すものではなく、商務省と米通商代表部(USTR)に対し次の段階に関する報告書を提出するよう指示している。調査は4月1日までに完了する見通しとなっている。