ただ、亀田製菓不買運動に心血を注いでいた方たちには大変申し上げづらいのだが、これは今回の「赤いきつね」の性的批判と同じ典型的な「エア炎上」だった。

「赤いきつね」のアニメCM(東洋水産株式会社(マルちゃん)の公式Xよりキャプチャ)「赤いきつね」のアニメCM(東洋水産株式会社〈マルちゃん〉の公式Xよりキャプチャ)

 確かに、コンテンツとしての「亀田不買運動」は大バズりした。しかし、現実世界ではほとんど影響がなかったからだ。

 日経クロストレンドの《亀田製菓「不買運動」は効いているのか? 販売シェア推移の衝撃》(2月18日)で詳しく分析されているが、全国のスーパー約930店舗の販売情報では、ネットやSNSで不買が呼びかけられていた時期、「せんべい」カテゴリーにおける販売金額シェアはずっと横ばいだった。

「嘘だ!マスゴミの情報操作に決まっている」となかなかこの現実を受け入れられない方もいらっしゃると思うが、実はこれにはちゃんと理由がある。不買運動をしていた人たちが訴えていた「中国産を使う亀田製菓を許すな」という話は、先ほどの「インド人経営者が移民推進」と同じく、「事実」に照らし合わせると、かなり誤解があるからだ。。

「亀田製菓、ざまあ」まだ不買運動を続けている人が“日本の敵”になってしまうワケ》の中で解説をしたが、日本の米菓企業はグローバル化が進んでいる。世界で米菓を食べているのは日本人だけではないのだ。そして、言うまでもなく世界一の米菓市場は中国だ。

 だから当然、亀田製菓や三幸製菓も中国大陸に製造拠点や販売拠点がある。そして、これも当たり前だが、中国進出企業は製品によって現地の材料を使う。中国進出している日系メーカーも現地生産の部品を使うではないか。

 なので、日本の米菓企業には「中国製造・中国産原料を用いた米菓」が一定数ある。例えば、亀田製菓不買運動をしている方たちが「買って応援しよう」と言っていた三幸製菓には「粒より小餅」というお菓子があるが、この米は中国産とタイ産のブレンドだ。

 また、「三幸の柿の種」の中に含まれているピーナッツは「中国産」である。これは岩塚製菓の「しお枝豆」も同様で原材料を見ると、《ピーナッツ(落花生、植物油脂、食塩)(中国製造)》とある。